パラリンピックとおかん

どうやらオリンピックが終わったらしい。
テレビやニュースでなんとなく日本人選手たちの活躍を見ていたような気もするし、競技によってはなんとなくゲームを眺めていた記憶もあるのだが、私個人として関心はそれほど高くなかったイベントのようだ。
なんせ前回大会が自国開催ということで、マスコミや広告代理店たちによる半ば強制された熱に浮かされている状況だったから、今回のパリ大会についてはその盛り上がりに向けての各ステップや周囲の勢いという補助がなかった分、自分ごとできなかった。

次はLA大会やな。

いや、ちょっと待て。
オリンピックの後にはパラリンピックが必ず毎回開かれる。
大多数の方々にとって、オリンピックに比べるとどんなに足掻いても話題性に欠けるというのは否めないところではあろうが。

何を隠そう、以前は私自身もどっちかと言うとそういう風な印象を受けていた。
・・・のだが、人生の途中から義理の兄弟がパラリンピアンとなってしまって、まったく話が変わってしまった。
今やなんならパラリンピックの方が注目度も高い。彼は金メダリストでもあるから応援のしがいもある。

パラリンピックの謎

しかし、このパラリンピアンという存在。私は勝手に複雑な思いで見守っている。
理由はいくつかあるのだが、まず一番競技者たちに失礼なことから言うと、正直どんだけすごいことなのか、正確に測りきれないもどかしさがあるのだ。

1. 当然ながら、同じ制約の中にいるわけではないから、たとえば車椅子で走ること自体がどのくらい大変なのかの程度が把握できない
2. 競技者人口がどのくらいいるのかもわからない(でも、きっとオリンピックよりは母数少ないよね?とは思う)
3. 同じ競技でも障害の重さによってグレードがあって、その区分がどうやって分けられているのか。そして、その区分内の身体的差異と練習や素養によるものとどのくらい影響を与えあってるのかわからない

というようなことを考えてしまう。

パラリンピックに出るくらいなんだからシンプルにすごい(ていうか、練習や努力の量が本当に半端ないの知ってるし)、で良いのにいちいちこういうところを分析してしまうところが仕事脳で本当に嫌である。・・・んだけど、ここらへんの謎というか、仕組みをもっと明快に皆さんに説明するとパラリンピックファン、というか競技観戦の楽しみ方も増えていくと思うので、マスコミさんにぜひお願いしたい。

余計な心配

個人的に勝手にしちゃう超身内的な心配なんだが、率直に言うと食っていけるの?である。
先述した東京大会の時は、パラリンピックもとっても持ち上げられていて、いろんなテレビ番組にも引っ張りだこだったのだけれど、今回のパリ大会に関しては取り上げられ方もそれほど大々的ではないようだ。
なんだかあんまりここまで露骨だと、「やっぱりパラリンピックもビジネスだしね」「自国開催だったからなのかもね」という誰にも要請されてない心配が沸々と湧いて来てしまって、彼らはこれから大丈夫かしらね、とたまに一人で心配している。

が、当人はやっぱりスポーツ選手でメンタルがとても安定して強く保ててるし、私なんかのような一般大衆には一生無縁である大企業からのスポンサー契約という煌めく後ろ盾を持っているのである。あれだけしっかりしてれば、後々講演会なんかやっても喜んで聞きにくる人は多いだろう。
稼ぎも当然ながらに彼の方が多いはずである。常に世界のいろんな大会に出場して回ってる。心配すべきは他人ではない、自分である。

心配は更に続く

今回、うちのおかんも応援に行くらしい。
あのど田舎で毎日畑をいじるのが趣味のおかんがあろうことかパリに行こうと計画しているのである。
もちろん英語を喋るなんてことをするはずもないから言語面での心配はさることながら、パリはいかんだろう、パリは。
これまで香港に何度か遊びに来てくれたり、台湾にも訪れたりして、謎のコミュニケーション能力の高さを発揮して我々を驚かせてきた彼女だが、そんな平和で生優しい世界とパリを一緒にしてはいけない。

昭和の日本人の中では、パリといえば今でもいわゆるファッションの都でどこを歩いても芳しいバラの香りが漂う街なのかもしれないが、現実はそんな生易しくない。私だって、ポーッとしたいかにも日本人顔で歩いてたからなんだろうが、名刺入れを子供に盗まれた経験がある。
香港では10年間以上窃盗集団から鉄壁のガードでノーヒットノーランを達成していた私がである。

「おかん、パリは香港とちゃうぞ。」
何度言っても、昭和のおかんの頭は変わらない。
香港は中国、いっぱい危ない人がいるところ。パリはお花が咲いてる街。

そんなおかんが「これでパリに行くの」とリュックサックを買って来た。私は倒れそうになった。
そういえば、初めて香港に来た時、この人は腹巻をしてその中に現金を入れて来ていた。
パリではどんなトリックを使う気なのであろうか。

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