仕事をとるのか、香港をとるのか

大変に幸せなことに、私は今の会社のことがなかなか好きである。
今年で7年くらいお世話になったことになると思うのだが、
香港オフィスがまだまだ赤ん坊のようだったころから入社しているだけに
ロイヤリティとも、情とも呼べる、腐れ縁を強く感じている。

また一方で、私は「香港ライフファイル」という名のブログを作って
行き場のない屈折した愛を書き連ねるほどにこの香港という街のことが好きでもある。
世界にはまだいっぱい行ったことがない街があるのだけれど、
おそらく今までもこれから先もこの街ほどに胸を張って好きと言える場所も
なかなか生まれてこないだろうと思うほどに。

そして、最近この2つの愛すべきもの達が私の意思に反して交錯を始めてしまっている。
仕事をとるのか、香港をとるのか。
具体的に言うならば、今の会社とともに歩み続けるならば東京行きがほぼ確定、
香港という場所を選ぶなら、仕事面で新天地を探し求めることが必要。
といった、ちょっとタフな選択を強いられているのである。

私自身は最近までどちらかと言えば、前者を既定路線として受け止めていたのだが
それによって犠牲になるいろんなコスト、労力、人間関係を
ボンヤリと、しかし冷や汗を流しながら考えてみると
なかなか後者を検討してみること自体は別に悪く無いかとも思う次第なのである。
職探しなんて大体においてタダであるし、世の中における自分の価値を知ってみる、
という意味合いにおいても、なかなか楽しげ作業ではないか。

しかし。
私は大きな仕事をしないくせに、注文だけは多い男である。
これから人材エージェントにCVを送付するにあたり、
次のことをこっそりと申し送りしたいと思っている。

基本的に日系企業で上手くやる自信はあんまり無い


これは何かと含みが多い表現であるが、どうポジティブに考えても
「日本語が話せる」という点を除いて他に私が日系企業で上手にやっていくという
姿が想像できないというのが正直な見解である。

もちろん、欧州系オフィスと日系オフィスの雰囲気や仕事のプロセス、
価値観の違いのようなところで戸惑ってしまうだろう、
っていうのは火を見るより明らかなわけだけれど
それよりやっぱり私が一番受け入れられないと思うのは
駐在員と現地採用の格差なんじゃないかと思う。

いくらやっても、待遇でもポジションでも越えられない壁があるというのは
(しかも同じ日本人同士)割と自分を甘やかしてきたタイプの人間である私にとって
モチベーション維持の点において看過できないシステムである。

日本から海外へと職を求める方々にとってもきっと重要なポイントになると思われるが、
入ってみてから下克上を画策するなんて当たり前だが無理なお話。
ただ、日本語話者にとって、案件自体はこの手のものが一番多い。残念なことに。

そして、韓国人女性マネージャーは避けたい


これはサンプル数が2しかないので、何とも偏見的発言になってしまうかもしれないが
外資企業であっても、韓国人女性の下には絶対につきたくないのである。

彼女たちはある種の狂信的ともとれる程の仕事へのパッションを胸に秘めており、
それは往々にして自分自身から溢れ出てはやがて周囲に伝わり、
チームは異常なテンションのもと、日々のタスクを実行していくこととなる。

また、今までどんなドラマや映画でも見たこと無いし、
そんなものこれからも絶対に世の中に出てきてはいけないであろう、
っていうくらい、ものすごいキレ方をしていたのも非常に印象的である。
ヒステリー。癇癪。精神不安定。
そのどれもが可愛く思えるほどにまさにオフィス全体が震撼するほどの迫力で吠えた。
しかも、毎日。

韓国の中では少数派であると願いたい彼女たちのおかげで
私は韓国人女性に少なからずトラウマを持っている。

広東語しか話せない


今まで何度も記事にしてきたが、私は広東語しか話せない。
普通話がまるでダメなのである。
であるから、香港域内から一歩でも外に足を踏み出そうものなら、途端に役に立たなくなる。

こう書くといかにも偶然が重なってそういう状況が発生したような風であるが、
若い頃から「(香港が好きだし、)大陸に行って仕事したくないから、広東語しか勉強しない。」
という、安っぽい信念のもと、私は生きてきていたようである。

そして、甘えたことを書かせていただくと、今もその考え方は基本的には変わっていない。
いくら香港が中国化しているとは言っても、やはり深センのボーダーを越えたところで
街の雰囲気も人々の様子もガラッと変わってしまうし、
私が好きなのはどうひっくり返っても、香港側のそれであろう。
プライベートの旅行を除いて、なるべく香港に引きこもっていたいのである。

ただ、香港という街のアドバンテージはそういう大陸へのアクセスの良さによる部分も
少なくないから、それを拒否した時点で
(特に男性は)仕事の選択の幅が随分と減ると考えたほうが良い。

・・・と、ここまで3つ書いた時点で、温厚な人材エージェントの方の面持ちが
苦渋と失望に染まるシーンが鮮明に想像できるわけである。

やはり東京なのか。香港にしがみつくのか。自分のことながら興味は尽きない。

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