可哀想なんだかどうだか分かんなくなった香港住宅事情

こんな私にも一緒にランチしてくれる人が何人かいる。

そのうちのひとりが最近誘っても全然一緒にランチしてくれなくなっていた。
が、今日改めてダメ元で彼に聞いてみたところ、意外にもOKとのことで、
久々に一緒に昼ごはんを食べることにあいなった。

そこで、いつものように海港城側から九龍公園を横切って
歩いているうちに、どこでランチするかという話になったわけだが、
通常この状況下で私たちには3つの選択肢があるわけである。

公園をしばらく歩くと道は自然と3つに分かれる。
まっすぐいけば美麗華商場およびその周辺の店、
右に曲がればそこそこのグルメ街、亞土厘道。
左はというと、これはもう尖沙咀というより佐敦。
下町の安い店が並ぶ、エコノミーランチエリアである。

予算はHK$30!?


どの道を進むかである程度のランチの質が決まってくるのだが、
「どこでもいいよ」しか言わない日本人な私の中では(面倒くさいことに)
実は右かまっすぐの二択であるし、そう決まることを願っている
ちょっとくらい出したって、それなりに良いランチはしたいのだ。

ところが、ここで彼がすかさず、

左で。予算はHK$30で頼む!

とか言い出したのである。

... 正直、ガックリきた

ただまぁ、わざわざ予算まで指定してくるなんて、尋常ではない。
貧乏学生じゃあるまいし、そこまでランチの値段に
敏感にならなくっても、とちょっと不思議にも思った。

遅く訪れる香港人独り立ちのとき


よくよく聞いてみると、最近引っ越ししたことが原因で、
いろいろと節約せねばならず、お昼も長らくお弁当持参だったとのこと。

ここで彼のバックグラウンドを少し。彼はあまり裕福でない
香港人としてはよくあるパターンで生まれてからずっと親と
暮らしていた
わけだが、結婚を機にこれまた同居する羽目になった嫁が
彼の親との同居に耐えられなくなり、このたび親元を離れて
二人きりの新生活を始めることになったというわけだ。

彼にとっては、初めての自立した生活であるため、
想像以上の生活費が彼に多大なプレッシャーを与えているようで、
特にクレイジーな香港の家賃の影響は大きいと言う。

大変に共感できるお話である。

500sqfもない郊外のマンションですら、月にHK$10,000+の家賃。
私が過去に住んだことのあるあの超ド田舎のドラえもんハウスだって、
当時はHK4,500だったのに今じゃHK$10,000を超えてくる。
香港中の不動産が沸騰してしまっている。

そういうわけで、凄まじい家賃と日本人なら通常teenagerのときに
経験するであろう独り立ちに関する不安で彼は精神的に追い詰められ、
HK$30以内という、綿密な計算ではじき出されたようで
実はそうでもないような適当な予算制限を私に提示してきたのだった。

あら、でもよくよく聞くと・・・


結局、ランチの間中、彼の不安と愚痴を聞かされたわけで、
家賃の部分等、当初は私も大いに同情したわけである。
だが、正直にいうとどーでもいい、ということもいくつかあった。

たとえば、家が会社から遠いとか。
通勤に一時間もかかると嘆いているわけである。
日本人の感覚からすれば、一時間なんて屁でもなかろう。
新幹線に乗って通勤してるお父さんたちに言わせりゃ、
一時間程度で弱音を吐くようでは社会人として甘えすぎである。

しかも、マンションの下に毎日選べるほどのレストランや
スーパー、街市がないんだよなぁ、とか続ける始末。
その上、彼の場合、実家と同じ地区、という縛りまで存在したようだ。
香港なんて狭いんだから、どこでもせいぜい一時間強で帰省できるのにさ。

都会人だからこその悩みなのかもね


まとめると、通勤便利で、階下に便利なショッピングモール、
しかも親元から徒歩圏内というのが彼の基本条件なわけである。

ランチが終わる頃になってそれを全部聞き終わったわけだが、
私にとって見れば、どーでもいい、妥協できる項目ばかりが印象に残り、
そういうフィルタを外して、もっと広い視野で探せば、
安いところだって見つかるんじゃないかという気が起こってしまった。

事実、私の知り合いの日本人だってもっと安いところに住んでる人も
結構いるわけである。こう考えると、香港人というのも、
自宅のロケーションについては相当にデマンディングな人たちである。
根っからの都会人たちだから、不便な環境自体が恐怖なのかもしれない。
(その割に山や坂の上に住むのがお好きのようだが)

私はというと、日本とかいう島国からやってきた田舎者だから、
通勤にも一時間かかるし、家の周りには茶餐廳も
数えるほどしかないけど、それでも毎日楽しくやれているさ。

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