私が香港でやらかした間違いだらけのBBQパーティー

何度も書いたが、私は香港でもかなりの田舎に住んでいたことがある。

交通がとことん不便だったり、最寄りの711にいくのに
20分もバスに乗ったり、裏山から頻繁に蛇やカエルが遊びに来たりもした。
嫌になることには事欠かなかったが、その逆に良いこともいくつかあった。

そのうちの一つが、いつでも自宅でBBQが出来ること。
これは私にとって、大変な贅沢とも言える田舎の特典だったし、
今でもそれがためにあの村に戻りたくなることだってある。

だから、当時の私はそんな幸せのおすそ分けといわんばかりに、
「えぇ?MTR駅からバスで30分って・・・」とちょっと引き気味な
香港人の友人たちを自宅に呼んでBBQパーティーを計画したのである。

正論すぎて、何も言えねぇ・・・


雨の多い春も終わり、太陽もカンカン照り。
自分の大好きな季節、夏がついにやってきたことを確信した私は
満を持して、香港人たちに電話をかけ始めた。

真夏のビーチや河原でのBBQは、日本では夏の風物詩の一つだし、
私の頭の中にはまさに日本のそれが思い浮かべられていたのである。

私「BBQやろっか?」
香港人「ハァ?何言ってんの?今、夏じゃん。」
私「そうだよ。だから、早くやろうよ。」
香港人「痴線、死架仔!(ガチャ)」

・・・!?
誰を誘ってみても、大体同じような反応である。
何も間違ったこと、言ってないと思うのに・・・。

その後、彼らから直接理由を聞き出すことになるが、
それは理由とも呼べないような単純な自然の摂理であった。

「このクソ熱い中、BBQなんて誰もやらないよ。
普通、寒い冬の間にやるだろ。暖も取れるし、一石二鳥じゃん。」

正論すぎて、何も言えねぇ

・・・往生際の悪い私は夏の間も汗ダクダク、そして
蚊に刺されまくりながら、自宅で一人BBQを続けたのだが、
夏も終わる頃になってようやく心が折れた。暑さがハンパないのである。

教訓:やっぱり香港のBBQは冬に限る。(確信)

彼らのBBQ美学を完全無視した失態


そうして、念願のBBQパーティは冬期開催されることとなったわけだが、
私にとっては半年越しの待ちに待ったBBQであったし、
こんな辺鄙なところまで来てもらってホストする側であるから、
私は少し気を遣って、みんなのために肉を焼く係を買ってでることにした

私が外で肉を焼いている間、友人たちは温かい家の中でご歓談。
我ながら、なかなか友達思いなアレンジだと私は自分に少し酔っていた。

しかし、である。
どうも香港人たちの反応が私の期待したものではない。
どこか居心地が悪く、何かとても物言いたそうな顔ばかりなのである。

遠慮しているんだろうか、この人たちは・・・。と私も心配をはじめた矢先、
友人のうちの一人がついに我慢できなくなって、口を開いた。

もういいから、自分で焼かせろ。(怒)

HK_BBQ
で、始まったのがこれである。

各人が1〜2本の棒を持って、自分で食べる分を自ら焼くスタイルで、
野宿並みのワイルドさがちょっと魅力的だが、非効率な焼き方にも見える。
しかし、彼らはこれがやりたくてしょうがなかったのである。

自分の好きな具材に蜂蜜なんかをつけて、好みの焼き加減にした後、
見よ、この黄金色に輝く美しい鶏翼をっ!
と鼻高々に焼きたてを頬張る。ここまでやってこそ、彼らのBBQというもの。

であるから、そんな彼らのBBQに対する至高の美学を無視した、
「私が全部焼いてあげるから、家の中で待ってて」なんていう
安っぽい気遣いはまさにありがた迷惑以外の何物でもなく
他人の焼いた肉なんて食ったって、彼らは何も嬉しくなかった、
という悲しい事実だけがそこにあったということになる。

まったく、私がたまに気を遣うと、これだから嫌になるわけである

片付けの最中に起こった血尿事件


そんな最初から最後までズッコケ続けたBBQパーティーであったが、
日式焼きトウモロコシ等の食べ物の献上による必死の挽回作業により、
なんとか友人たちも笑顔を取り戻し、円満なうちに片付けの時間となった。

しかし、最後の事件はそんな片付けの最中のトイレで起こったのである。

あれ・・・何で・・・トイレの水が赤いの・・・?

誰が流し忘れたのか知らないが、透明なはずの水が赤く染まっている。
しかも、かなりの油分が水面に浮いているから、これは尋常ではない。
普段じゃ考えられない色だけに私はかなりビックリしてしまったが、
やがて想像もしたくない、最悪のシナリオが思い浮かんでしまった。

「あんなに元気そうに振る舞っていた友人のうちの誰かが、
実は体が悪くて血尿(ガンとかそういうヤツ?)に苦しんでいる。
誰にも言えなくて秘密にしているのではないだろうか・・・。」

友人たちが談笑を続ける中、私はひとり浮かぬ表情になった。

答えは更なる衝撃の光景の中に


当然、そんなことをみんなの前で言えることもなく、
しばらくの間、私は悶々とした日々を過ごしていたのであるが、
後に今度は私がお呼ばれすることになって、香港人たちの自宅に
遊びに行った時に衝撃の光景を見てしまうことになる。

この人たち、料理の残りをかなり大胆にトイレに流していたのである。

いや、それちょっと固形物も残ってるのでは・・・、と心配するような
ものでも流してしまうが、不思議とトイレの方も詰まることがない。
ちょっと硬いティッシュを流すだけで音を上げてしまうような
日本のトイレと違って、筋金入りのタフガイである。

「あれっ?もしかして・・・?」

・・・血尿の秘密が解けたのであった。

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