世界中のお母さんの笑顔を取り戻せ 2024

以前にも書いたが(機能しない方程式)、一旦育児が始まるやいなや、家庭の様子は一変する。
それまでのように話し合いやその場しのぎのプレゼントや思いやり程度では解決できない、大きな大きな子育てという人生の一大事業が始まるからである。女性は男性よりもずっと早く、そして深くそれを自分ごと化している場合がほとんどであるから、トレンドに乗り遅れてしまった旦那さんたちは後になって驚愕、報われない努力、落胆という道筋を一旦辿ることになる。

そんな一通りの既定路線を経験した私であるが、そこで挫けるようでは男が廃るというもの。とりあえず、試行錯誤しながら足掻いてみている。今後、未来のお父さんになる予定の方々のためにここにいくつかの例を残しておくから、ぜひ私の屍を糧にうまく奥様方と上手な育児を実現させていただきたい。

仕事を頑張る

頑張っているのはいつも頑張っているのだが、子供ができてしまうと今までのように「ダメならダメで田舎で細々と仙人のような暮らしもあるし」的な退廃した思想を持つことは許されない。その代わりに妻と子供が健康であり続けるためにひたすら稼ぎ続けることが自然と要求される。世間一般でいう、責任というやつである。私だけなのかもしれないが、男性の頭の中ではこれすなわち「経済的なことを心配させずに育児に専念できる環境を作る」というところから育児なのである

これは当たり前だがそれほど簡単なことではない。仕事は毎日カオスで問題も多く起こるし、人間関係だって複雑だ。毎月きちんと給料をいただいたり、ある程度の出世をしていくことには相応の努力と献身が必要である。故に、直接的な育児と同じくらい大事なのだ。なんせ、育児の土台を築いている。私なりの言い分である。

結果 : 奥さんの笑顔度 シンプルに0% 反応 : 「え?ところで、もうお風呂入れてくれた?」

食器洗い、掃除

ここら辺は子供ができる前からやってきていることである。
とはいえ、こういう家事をやることで奥さんが育児により専念できるようになると言う意味では、貢献は小さくないはずである。
世の中にはまったく家事をしないなんていう亭主関白な旦那さんも多いと言うから・・・というようなちっぽけな自負もある。

結果 : 奥さんの笑顔度 5% 反応 : 「いつもありがとう(抑揚なし)」

掃除、そして料理

ここまで全くの不発に終わっている。
やってる方としてはなかなかハードワークしているつもりなのだが、なんだかその受け取られ方については肩透かしを食ったように「思ってたんと違う・・・」感じそのものなのである。

そこで私は次なる作戦に移る。決められた家事分担表の中では奥さんの担当である掃除と料理に手を出したのである。
これはなかなかに成功であった。掃除というのは、ホコリや汚れが子供にとって良くないと気になっていた奥さんの痒いところに手が届いたようであり、料理については毎日の献立を考えたり、純粋に料理をする時間もバカにならない。そこに自発的に挑んでいった私の心意気は認められたようである。料理をしていると、たまにリビングでくつろぐ奥さんの鼻歌が聞こえる。ただ、自分の体力の限界もここらで感じ始めた。

結果 : 奥さんの笑顔度 50% 反応 : 「美味しいね、でもナスはわざわざ買ってこなくても冷蔵庫に入ってたよ」

子供の保湿と離乳食の時にぽんぽんポコポコする

掃除と料理はなかなかうまくいった。しかし、時々まだ浮かぬ顔をするのは気のせいか。
私としては体力的にも時間的にも結構限界ギリギリまで努力していると言うのに・・・。

しばし考える。あまり口に出してあーだこーだ怒ってくるタイプの人ではないが、彼女の顔色が曇るのはどんな時か。最近だと

  1. 離乳食を作ったり、とくに子供に与えてるときにうまくいかなくて半ギレしている
  2. 子供の身体に保湿クリームを何種類か塗る時に私がその方法や順序を覚えてなくて絶句
  3. 抱っこ紐を後ろ向きの設定から前向きに変更する方法を同じく私が覚えておらず絶句

どれも小さなことである。言い方が悪いが仕事も忙しかったりするのに、私もそこまで覚えてらんないよ系の些細な項目も含まれている。

が、どうしても100%の笑顔が欲しかった私は、ダメ元でやってみるしかなかった。もはやここ以外に思い当たる節がなかったのである。

しらすやいくつかの野菜等の離乳食に対して全然食べる気がない子供の前で、本を読んだ。ぽんぽんポコポコという本を読むとあら不思議。本に集中した息子の口がぽかーんと開く。そのまま何だかんだでパクパク食べてくれている。

保湿なんて一度覚えれば簡単である。一日一回5分でOK。まさに朝飯前。抱っこ紐も然り。覚える気があれば一発である。

結果 : 奥さんの笑顔度 120% 反応 : 「えっ、ほんと?すごーい!明日は児童館行って高速ハイハイ一緒にしようね!」

共に頭を使い、手を動かせ

今の世の中、安定的に仕事をするのも楽ではない。それに加えて、家事をするのもなかなか過酷である。
しかし、それに比べて最後の保湿やぽんぽんポコポコはどうだ。労力と奥さんの笑顔を比べた時のコスパがすごい。

というか、育児は労力とか大変さとかだけの世界ではないらしい。
私がずっと試みていたのは、育児を支える環境とか、それに専念させてあげる時間作りをものすごく一所懸命やっていたわけであるが(ある意味勝手に想定した線引きをこっちがやっていたわけだ)、奥さんとしてはただただ一緒にやって欲しかったように思うのである。

「自分だけ」が考え、「自分だけ」が悩み、「自分だけ」しか出来ない育児は不安だったのだろうし、頭では一緒に広義の育児をしてくれているのは分かっていたのだろうけれど、孤独というか「一人でやってる感」はどうしても拭いきれなかったのだ。

ということで男性諸君、私は育児はその量や労力というより、「一緒にやれている」という安心感が大事なのだと思っているよ。少なくともうちの家庭では。

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