東京漂流記

今住んでいるところが定期借家なので、私はもうすぐ引越しをせねばならない。
やむ無くいろいろ物件を探してみてはいるのだが、今回はなかなか簡単に決まらず少々難儀している。
引っ越しって環境が変わって気分転換になるのは良いのだけど、使う体力とお金も計り知れない。

そういえば、私は東京に戻ってきてから7年というところであるが、すでに結構点々としてきている。
小さな頃から転勤族で育ったから場所にあまり強い思い入れを持たないようにして来たのと、ASDの気まぐれさ(一回なんか綺麗にしたくなる)が相まってのことなのかもしれない。

ということで、今日は東京に帰ってきてから住んだ場所についてふりかえる。

文京区春日


香港から帰ってきて初めて住んだのはこの街。
私は生まれも育ちも東京ではないから、当然ながら春日に縁もゆかりもない。
ただ、なんとなく日本に帰ってきたらせっかくだから香港のようにせわしないところでなく、落ち着いた場所がいいかも。
東京ドームも近いし。(別に巨人ファンでもないのだが)
というどうでも良い感覚と、香港から連れて帰った2匹のワンコと一緒に住める家、というかなり限定された条件だったからあまり都内に選択肢がなかったという理由からである。
実際住んでみると、都会のど真ん中だというのに確かに落ち着いているし、お寺や神社、名所巡りも楽しそうな場所であった。
ただ、ペットフレンドリーなマンションを選んだにも関わらず、留守中のわんこの鳴き声がうるさいという苦情を階上の住人から受け、数ヶ月滞在した後に泣く泣く転居。
(この点、香港は迷惑をかけてもお互い様スピリットがあったから良かったよな〜)
この時にワンコ達を実家に預けることになってしまって悲しい思いをしたり、ほとんど家の周りを開拓できずに終わってしまったりで個人的に悲しい思い出しかない街となってしまったのである。

中央区八丁堀


ペット可物件の呪縛から解放されたということで、好きに選んだ。
この時のテーマは「勤務地から近い」である。
私の人生は、自宅が学校や会社から遠いところにある時間帯の連続であった。
ギリギリまで寝て、ちょっと身だしなみを整えてひょいっと登校する人たちを羨望の眼差しで見ているしかなかったそれだったのだ。
香港にいたときだって、大埔の大美督の方から2時間かけて通勤してたり、馬湾からフェリーに乗って通勤していたりとかなり平日の出勤時間より充実した休日を選ぶような場所に住んでいた。

だから、一回便利ライフというものを送ってみたかったのである。
そういう意味では銀座にも東京駅にも近いし、いちいち気の利いた街を通過する日比谷線沿線というのは利便性が非常に高かった。実際、フットワーク軽く色々なところに行けた記憶がある。

ただ、八丁堀自体はオフィス街そのものであり、下町情緒や可愛い雑貨屋さんみたいなものとは無縁。
土日なんかはゴーストタウンのように静まり返るし、あの街で正月を過ごそうものなら文字通り人肌恋しくなってしまう。
グルメについては、結構名店がひしめいていて、困った記憶はなかったかな。

港区南青山


これはもう記念のようなものである。
一生のうちで住める時に住んどけ的なそれであり、東京に上京した田舎者がいかにも抱きそうな小さな夢を満たしたかっただけのような安っぽい記念碑であった。
場所で言うと、外苑前駅のすぐ近く。
おそらく育ちが都会の人なら楽しく住める街だったのかもしれないが、基本的に口が半開きでぽーっとしたところのある私にとっては結構不都合も感じる場所であった。
なんせおいそれと外にでることができない。ちょっと通りに出れば、バチっとオシャレした人がそこら辺を闊歩しているわけである。
ちょっとそこらのコンビニに。とTシャツ、短パンにつっかけで・・・なんてのが気楽にできる雰囲気ではない。(いや、やってたけども内心心地良くはなかったのだ)

あとはスーパーがない。
ピーコック南青山店が最寄りの唯一使えるスーパーだったのだけれど、私が引っ越すや否や閉店。
残るは成城石井のみとなってしまって、普段使いのスーパーがそれになってしまうというバブリーかつお財布には優しくない生活を送った。
散歩で外苑前、青山霊園や表参道に行けるのは良かったんだけど、私はもっと庶民派な所の方が落ち着くのだなと自分を知ることのできる経験となった。

この性分で外苑前に住んでしまったのは我ながらちょっと痛い思い出でもあり、笑いのネタでしか活用できない黒歴史である。
書いてて本当に恥ずかしい。

中央区へ、そして次は?


そして、現在は中央区に戻っている。
以前住んでいた八丁堀よりももっと情緒のある場所で大変に気に入っている場所でもある。
いわゆるオシャレな方々は東京の山手の西側でもカッコよく生きていられると思うのだが、私のようなヤツは東側の方が性に合うのである。歳も歳だし。

さぁ、そして今回。
家賃相場も上昇する中、赤ちゃんがいること(間取りや将来的な学校のことも・・・)+猫1匹、と今までにない状況下、いろいろ今までしなかった苦労をしながら物色している途中なのである。
さてはて、どこに行くのやら。

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