Weekend in HKG/TYO

賞味期限ー。私の中の賞味期限とは。

長洲島の賞味期限

朝10時。中環の長洲島行きフェリー乗り場に集合。
半分はKoji氏を中心とした香港科技大MBAのOB・現役グループ。
そして、残り半分はとあるブログに関連した方たち。
特に後者は各々がまったく違うバックグラウンドを持っている上に、ほぼ全員が初対面。
そういう一行が、いくつかの疑問とともに離島へのフェリーに揺られた。

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参加者同士の紹介もごく簡単なものしか与えられず、
やや戸惑い気味な雰囲気の中、島で我々に与えられたものは
BBQセット一式と目の前に広がるビーチ。

今回のイベントの招集人となったKoji氏も、施設の予約とその最低限の説明のみ。
ましてやブログを書いてる本人なんて海を眺めてつったっているだけだ。
であるから、参加者たちはそれぞれ自分の居場所を見つけていかねばならない。

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やがて、彼らは気づく。
皆に共通するキーワードは「香港」だけだということに。
たったそれだけの理由で、こうして真夏の土曜日に離島へと運ばれ、
見ず知らずの多国籍の集団に対峙させられていることにも。

そして、たったひとつのトピックについてそれぞれの思いを語っていくことになる。

旅行者。
限られた時間ながらもこの街にやってくるたびに胸を高鳴らせている。
それが初めてであっても、10年来の定期的な訪港であっても。
来るたびに違う顔を見せる香港に一喜一憂しつつも、
この街に引き寄せられ、また戻ってくる仕組みになっている。

起業家。
国際的なバックグラウンドを築いた後、香港において一念発起、起業。
日本の故郷と香港とを繋ぎたいー。
スタートアップの目まぐるしい日々を送りながらも、
女性社長の瞳はここ長洲島の青い空を清々しく見つめている。

現地採用として最近やってきたもの。
きっかけは王家衛。知れば知る程、恋に落ちてしまう街。
いつの間にかやってきたこの場所は、日本で想像していたよりも実はもっと魅力的だった。
次の週末はどこを訪れよう。街の景色はまだまだ新鮮だ。

アジアン・エリート。
香港科技大MBA組はアジアの国際都市・香港内外で大活躍中。
ビジネスの拠点としてこの街に居を構えながらも、
いつもどこかにチャンスがないか、アジア各国、いや世界中に目を光らせる。
ある意味、この街のアドバンテージを一番活かしている人たちでもある。

この島には賞味期限なんてまったく訪れてなかった。
むしろ、もぎたての果物みたいにフレッシュな香りに包まれている。

宮越屋珈琲の賞味期限

このコーヒーショップには時々とある女性が現れる。
ひょんなことから仲良くさせていただいている作家さんである。

「香港ライフファイル、読みましたよ。」
涼し気な眼差しから、ちょっと意地悪げな表情が見え隠れする。

帰るのか、帰らないのか。帰りたいのか、帰りたくないのか。
そんなことはとっくにお見通しだから、この人の前では私もめったな嘘をつけないし、
まったくもってハッキリしない、未練タラタラなおっさんになってしまう。

「私もそろそろまた香港に行かないとねー。」

ひとりだとなかなか乗れない小巴に。
離島にもぜひ。
西貢に行ってシーフードを選んでみるのもいいわ。
お気に入りのスタバから彌敦道の往来を眺めるのも好き。

何度も訪れた香港。
新しいことに挑戦しても、自分だけのいつもの場所で過ごしても。

宮越屋珈琲の賞味期限は、他よりずっとゆっくりとカウントダウンされていた。

お隣さんの賞味期限

今の家をとても気に入っている。
郊外だけれど、何よりベランダから見える景色が素晴らしい。
これを眺めていることができるなんて、こんな幸せな在港日本人も他にはなかなかいまい。
そう目を細めながら思っていた矢先に、隣に日本人の方が住んでいることが発覚。
愕然とした。

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が、お互いドッグオーナーということで、すぐに意気投合。
同じく犬好きのキャセイのフライトアテンダントさんたちも一緒に過ごす昼下がり。

私なんかよりよほど長い在港歴をもつ日本人の大先輩。
そして底抜けに明るいCAたち。

香港の未来は暗いんだ、なんて勝手に言ってる私がちょっと間違っていたかしら、
なんて思った香港立法会議員選挙投票日の前日。
時はいつも通り幸せに流れていた。

お隣さんの賞味期限は、まるで設定されていないかのように見えた。

香港にまつわるブログっていうのは世の中に星の数ほどあるらしい。
だから、今更私が誰に頼まれるでもなく記事を書き続けて、
ネット上のゴミを増やすようなことをしなくてもいいと思うのだけれど、
それでもありがたいことに読んでくださる方はいらっしゃって、
このブログってヤツは究極的に出不精(でちょっと忙しい)な私の人間関係に
何らかの形で彩りを与えてくれる存在になっている。

そして最近、日本と香港を往復する生活になった私は、
この期に及んでようやくそのありがたみに気づき、いろんなイベントに参加したり
新しい方とお会い出来たりするようになったというわけだ。
そこからの「賞味期限を切らしていたのは私だけだったのかも?」である。

この街は今も昔と同じように自分にチャンスをくれているにも関わらず、
そして思いもよらないサプライズを用意してくれているにも関わらず、
私のマインドにはややネガティブなバイアスがかかっていた気がしないでもない。

この街の人たちは、屈託もない笑顔と少しばかりの会社や上司への愚痴とともに
毎日を楽しみながら、噛み締めながら過ごしているっていうのに。

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