◯◯で香港人を釣る

多分、私の異文化への適応能力が幾分欠如しているからだと思うのだけど、
旧正月というイベントはいまだに自分のことのように祝うことができなくて
「あら、皆さん、賑やかですね。それはそれはおめでたいことで。」
と、どこか他人事のような気分で眺めているというのが本心である。

祝祭の色に染まる街も、似たようなBGMをひたすら流し続けるテレビも
何だかいつもより3割増しくらいにうるさくなる香港人も。
多分、私はそれらをまるで観光客かのような立ち位置で観察していて
積極的にそれらに参加しようという態度はとっていないのだと思う。

たまに見ている分には楽しげでいいけれど、そこから一歩踏み込んで
体験してみるというほどには魅力的ではないから、距離が生まれる。

しかし、あれだけは別である。
なんだかんだでそれなりにやらなきゃいけない行事が多い旧正月だが
その中でもこの街の人間が間違いなくメインイベントだと思っているヤツである。
red pocket
礼是。香港人の大好物である。

日本で言うお年玉のようなものだが、こちらのお年玉はいろんな人にバラマキまくるのが特徴。
もちろん、その分中身も10香港ドルとか、20香港ドルとか、
かなり寂しい額になるわけであるが、だからと言ってこれを侮ってはいけない。

銭のことになると血相を変えるのがこの街の人間であり、
額の大小に関わらず「礼是の渡し忘れ」は向こう一年間の人間関係において
非常に重大な支障をきたす、致命的なミスとなってしまうのだ。
まさに礼是を食い損ねた香港人たちの恐ろしさ、推して知るべしである。

よって、私もこのイベントだけにはほぼ強制的に参加させられているわけだが、
これを無理やりポジティブにとらえてみるならば、
「ちょっとの金をばら撒くことで普段懐柔が難しい香港人を味方につけられるチャンス」
とも考えられるかもしれない。

そういうわけで私も今のうちから礼是(海老)で香港人(鯛?)を釣るリストを作っておく。

チームのスタッフ


これは真面目に海老鯛リストのトップである。
いつもこの人たちがいるからこそ、仕事が回ってくれるのだから
感謝と期待を込めて、額も弾ませておきたい。
さすがにボスから20ドルの礼是もらっても嬉しくなかろう。
そんなことしたら、ダブルペイが出るやいなや、サヨナラである。

ビルのセキュリティ


この人に礼是を渡すのは、いろんな意味がある。
普段、特にこれといってお世話になることもないのであるが、
日本に帰った時に確信犯的にサロンパスを買わなかったこともあって
近頃見かけても足早に過ぎ去るようにしてしまっている。
謝罪の意味も込めて、礼是のひとつでも渡さねばなるまい。(何なの、この罪悪感!?)

洗濯屋のおばちゃんたち二人


きっとこの人たちに渡す礼是は恐怖に駆られてのものかもしれない。
私の住所を勝手に調べあげる情報力から推察するに、
彼女たちが掌握している情報ネットワークは広く、強大である。
何か失態でも犯してしまおうものなら、近隣住民たちから村八分。
この人たちを怒らせてはいけない、決して。

尚、礼是には一般的に新札を使うのが好まれるため、準備はお早めに。
ATMからも新札がジャンジャン出てきていると思うが、
細かいものは銀行に行く必要も出てくるかもしれない。
(もちろん、他の香港人たちも考えることは同じなので大混雑)

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