お友達から始めたい香港生活
この間もツイッターの方に書いたのだけど、またヤツに捕まってしまった。
私の中での通称「サロンパスおばさん」。きっかけは↓。
さっき名前も知らないオフィスのセキュリティの人に「今度、日本に帰ったらこれを・・・」的なおつかいのお願いされたんだけど、なんでサロンパス!?(尚、他の香港人にも頼まれたことあり)顔見知り程度の外国人にサロンパスの国際おつかい頼むとか、さすが香港人。
— HKLF (@HKLifeFile)
おばさんと私の関係はというと、オフィスのロビーでたまに顔を見かけたことあるかもね?
くらいの(向こうは一方的に好意を持っていたのかもしれないけど、それは断固して想像したくない)
友達はおろか、知り合いに分類することすらためらわれるような淡白なもの。
それなのに、初めて挨拶を交わした後の自然な流れで、国際おつかいを頼まれたという恐ろしい事件だ。
口も聞いたことがない私を日本人だと断定する事前のリサーチ力。(なんかいろいろ怖い)
私がエントランスを通り抜ける数秒でしっかり足止めさせるナンパテク。(見習いたい)
数十ドル程度の価格差のために、見知らぬ外国人を平気で使い走りにする金銭感覚。(◯んで欲しい)
4箱とか無理。いつも重量ギリだし。という私に満面の笑顔で”You can do it la~!” (話、聞いてんの?)
何だかいろいろ突っ込みどころの多いサロンパスおばあさんなんだが、今思えば悪いのは全て私である。
なんせ香港という街にはこの手のおじさん、おばさん(いや、若い人にも)が普通に棲息しているのだ。
「え?手をつないだことも、キスすらしたことないのにいきなり・・・!?」がこの街のスタイル。
10年近くも住んでいながら、あろうことかそれを忘れ、サロンパスおばさんに気を許してしまった罪。
ヤツがズボンの後ろポケットから携帯を取り出しながら、いつもまったく見せない笑顔でやって来た時に
立ち止まるなんて、不覚という他ない。普段の私だったら「ハロ〜」だけでスルーできていたはずだ。
当然だが、一旦おばさんの話術という蜘蛛の巣にかかってしまえば、私に逃げ道は与えられない。
サロンパスA。140枚入。の写真を無理やりに撮らされ、「時間があったら探してみるよ。」という、
まったく心にもない約束をした上で、ようやく命からがらビルの外に出ることができたのである。
その日、私はオフィスから離れて自宅に着くまで香港人の怖さというものについて考えた。
そもそも、サロンパスなんてこの街の薬局(萬寧とか屈臣氏とか)で普通に売ってる代物であろう。
いったいそれを取得するために私が日本で払う労力というものを想像したことがあるのだろうか。
しかも、おばさんは「Amazonでは買えない。空港にも無い。街中の薬局を歩きまわりな。」とか
一見親切な情報に見せかけてとんでもない事実を私に告げてきていたのである。
くそっ。サロンパスごときで、こんな嫌な思いをするなんてまっぴらだ!
もうすぐ自宅が見えてくる頃になって、ようやく私の怒りはこみ上げてきた。
そう。サロンパスごときで、である。
大体、私が香港人からサロンパスの並行輸入を依頼されたのは今回が初めてではない。
かなり前に友人(こっちはおばさんと違って、ちゃんと仲良い人だった)に泣く泣く頼まれ、
私もやはり「香港にも売ってるのになぜ・・・?」という聞けない疑問を胸に任務を遂行した。
他にも、「香港人は知らない人を運び屋に平気で仕立てあげる」という常識を身体で学ぶまで
私はいろんなミッションという名の犠牲を払ってきたのだが、そのことごとくが
「な、何故よりによってそんなしょーもないものを・・・」的なアレなのである。
例えば、
わざわざご丁寧にショップの地図つきのヌイグルミ依頼だったり。
(地図あるだけまだ良心的だが、オッサンが一人でRilakkuma買う姿を想像しろ。)
あとは、食い物。
どうしてもメロンが食いたいとか、「え?実家で柿作ってんの?持って帰ってよ。」的な
やっぱりほっといて良い系のリクエストなんだけど、まだ心が清らかだったころの私は
素直に言うこと聞いてたんだよね。
重い。そして何より・・・
空港のセキュリティ通過時に爆弾みたいな影発見→係員が飛んで来る→バッグオープン→
あっれ〜?、なんでこんなところにメロンが?すんませ〜ん的なお決まりの流れが本当に苦痛だった。
そうである。香港人はいつだって、私の苦労を考えること無く、お気楽に頼み事をしてきていた。
「送料を払うくらいなら、架仔に旅をさせよ。」そんな原理のもとにヤツラは蛮行を続けている。
私はもうこの負のスパイラルからは抜けだしたはずだった。
だから、こんどサロンパスおばさんに会ったら意を決して言ってやるのである。
「お・・・、お友達から、よろしくお願いします」って。
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