香港人にトラムでぶらり女子旅をさせてみる

Bonheur
おそらくキッチンに青い眼をした人は立っていないであろうが、
それなりのクオリティを提供してくれる使い勝手の良いフレンチレストラン。
そんな上環の一角で、私は香港女子とランチをしていた。

マンゴーミルフィーユ
そして、彼女のお気に入りの一品でもあるマンゴーミルフィーユ。
それにナイフが入ろうとした時、私は切り出した。

「ねぇ、これから行くなら、どっかに登山行くのと香港島を歩きまわるのとどっちがいい?」
私は男であるから、きちんとリードして選択肢を提案してあげるという紳士的な態度。

ちなみに相手はブーツである。

トラム
何故か答えは分かっていたような気がしたから、私は続ける。
「あ、そういえば香港島の散歩にちょうど良い本があるんだよ。」

「え?私、会社も香港島だし、香港生まれなのにガイドブックなんていらない。」

至極真っ当な答えである。

しかし、ページをめくった途端にトーンが変わる。
「ここ行ったことあるよ。」「あ、これは本当に美味しい!」「これ、行ってみたいかも。」
私が初めてそれを手にした時と同じ反応。

レストランのオーナーによって、私のクレジットカードが切られるや否や、
私たちは香港島散策の旅を始める。
時々この本をめくりながら。でも、脱線も大歓迎。緩く歩きたい。

まずは中心部で香港島ならではの空気を感じる

上環
香港島、特に中環から西の地域では坂や階段が至る所に見られる。
最初は辛い坂道なのだけれど、歩くのが楽しくなってくると段々と
「これを登り切ったところには何があるんだろう?」という好奇心に変わってくる。

太平山道
PMQ等を冷やかしつつ歩きながら、まず向かったのは太平山道。
気軽に歩ける上に、小洒落たお店が点在しているからそれを発見するのが楽しい場所。
特に今回は女性の視点から見た魅力的なスポットを紹介してもらえそうでワクワクする。

太平山道
例えばこのお店。
最近で言えば数週間前にも太平山道には来ていたのだけれど、一本路地を入った
まさに隠れ家的場所にあるから本の中で教えてもらわなければ巡りあうことはなかった。
次は昼下がりにやってきて、ここらでゆっくりしたい。
品の良いお店の数は、すなわち休日のクオリティにも直結するから非常に重宝する。

太平山道
奇抜なオブジェクトを備えるギャラリーにも出会ったり。
同行する香港女子もこういう小さな発見には、自分も旅行者になったかのように喜ぶ。

太平山道
実際、今日はずっと彼女が本を持ち歩いていたから、傍からみれば旅行者に見えたかもしれない。
ローカルであってもなかなか訪れない場所に旅行者は平気で踏み込んで行く。
そんな外国人たちの発信する香港情報にローカルの香港人が喜び、驚くのが少し可笑しい。

太平山道
太平山道も西に向かって歩き終わる。
香港各地に見られる大規模な廟とは違ってここのそれは非常に小規模で庶民的。
そんな風景を見ながら、隣の西営盤方面へ。

西営盤
源記甜品專家
前回、何も前情報なしに適当なもの頼んでいたのだけど、今度はオススメものをしっかり。
やはり物によっては当たりと外れがあるから、事前にそれを教えてもらえるのは嬉しい。
私は在住者だから良いけれど、旅行者なら外れのリスクはなるべく回避したいところ。

トラムに乗って一気に東へ

トラム
お腹もいっぱいになったところでようやくトラムに。
隣に座った人とも思わず会話を始めてしまいそうなローカルな雰囲気で車内はいっぱい。

トラム
何だかシュールな光景も一瞬目に入ったりもする。
トラムに乗ると、みんな異様なテンションに包まれてしまうらしい。
(もしくはテレビのプロモか何か!?)

北角
灣仔、銅鑼湾と過ぎて、北角。なんとトラムの路上に民間人がウロウロするようになる。
ここで落車。

北角
ここの風景は衝撃的。
トラムのすぐ隣で街市が営業されているし、レール上にはおばちゃんたちが闊歩。
見上げれば密集する住宅の窓という窓から洗濯物がぶら下がっている。
香港島の道路の中央をカッコ良く走っていたトラムが全く違う顔を見せる場所だ。

トラムを見るためだけに北角にやって来たの?

北角
わざわざ北角までやって来たのはトラムの意外な顔を見に来るためでもあったし、
やっぱりグルメのためでもある。
ミシュラン点心の添好運だってほら。おじさんも気になって仕方がない。

福元湯圓
でも、上環→西営盤と立て続けに食べた私たちにとって飲茶なんて今は無理。
そんな私たちが目指したのは福元湯圓。これは本ではなくて、同行の香港女子のオススメ。

福元湯圓
店内はお世辞にも広いとも綺麗とも言えないし、出てきたお皿も欠けちゃっている。
何だか悪い予感を顔に浮かべる私をよそに香港女子は一気にペロリ。

福元湯圓
一口食べてみればそれも納得。
冬に食べる湯圓。しかも、この生姜の効き具合が絶妙。
本格的に暖かくなる前に滑りこみで食べて欲しいローカルスイーツ。
んー、好滑!

福元湯圓
店内には「いけがみ ちえ」さんのサインも。
こんなローカルなお店もチェック済とは。(しかも4年以上前)
今日の散歩に携帯した本の著者のひとりでもある方。

最後にちょっと面白いビルをご紹介

英皇中心商場
これは食べ物ではないのだけど、北角(というか砲台山)には面白いビルがある。
名を英皇中心。
入り口からしてちょっと怪しいのだけど、時間があったら降りて見て欲しい。

砲台山
ビル内。何故だか猫用の遊び場とベッド。そして、猫様ご本尊もおらせられる。

砲台山
あら、ここにも。

砲台山
そして、店の中にまでもベッドが。本屋なのか、ペットショップなのか分からない。

砲台山
実はここ、猫カフェならぬ猫ビルとなっている。
店舗のオーナーたちが揃いも揃って彼らの虜。
まさにニャンコたちの天国となっているから、猫好きは要チェック。

香港島に遊びに来たくなっちゃうモチベーション

本
結局、散歩の間中、香港女子が手放さなかった本。私が買った唯一の香港本でもある。

私はこうやって自分が長々と書くことは好きでも、本やら文章やら読むのは本当に苦手。
本気で軽度のディスクレシアなんじゃないかと自分で疑うほどに。
そんな私がこの本を手にとった理由は3つ。

  1. 見た目にノックダウンされた
    レイアウト、テキスト、イラスト、写真、質感、サイズ。
    全てが楽しげで活字嫌いな私でもスッと消化できそうな気がしたし、実際出来た。
    3人の著者がそれぞれ得意な分野で活躍してるのも気持ち良い。
  2. まさにピンポイントなテーマに香港ファンとしての心を鷲掴みされた
    香港。トラム。女子。
    … 楽しげなことしか想像できない。そもそも私はくどくどマニアックなことを
    書かれるよりも楽しくサッパリ語られる方が好きなのだ。
    女子◯◯(例えば女子カメラ)とかのがシンプルで美しく、そして楽しい。
    今日も香港女子の心をキラキラさせてくれたのはこの本のおかげ。
  3. 多分、3人の著者が本当に好きなモノしか書いていない
    私は普段あんまり旅行のガイドブックは参考にしない。
    なぜなら、お金の匂いがプンプンしてしまうから。
    でも、この本は(私の憶測に過ぎないけれど)著者の想いが多く反映されている気がする。
    そういう情報は貴重であるし、信頼に足るものなのである。

と、私が書く前に皆さんすでに入手しているだろうけれど。

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