香港の賞味期限

夜になっても静かになるどころか、ごく自然にボルテージをあげる街。
遅い時間だというのに、子供も含めて総出で街に降りてきて、
甜品を賑やかに囲む、ごく一般的な家族の笑い声。

夜中に名店探しながら、荃灣をブラブラするのも楽しいかもね。

昨夜たまたま通りがかったその街の賑やかな様子を見ながら、ふと思った。
すると、これからしばらく荃灣に足繁く通う自分の姿がなんとなく
浮かんできて、久しぶりにちょっと心がわくわくした。

ものすごく小さな心の中の動き。でも、そんな気持ちがとっても大事。

 退屈なのは誰のせい?


荃灣線にはよく乗るからその名は知ってるけど、実際に行ったことはない。
多くの日本人たちがそうであるだろう場所。要するにどこにでもある街だ。
私にとっても帰り道にすることが出来る(いろんな帰り方があるのだ)にも
関わらず、ほとんど寄りつかなかったところでもある。

でも、そんな何の変哲もない場所にしちゃってるのは実は私本人かもしれない。

言い訳じゃないけれど、私の香港生活はそれなりに忙しい。
(ブログ書いてるじゃないかと言われるかもしれないけど、これも
重要な私のライフスタイルの一部なのだ。)

オフィスからはヴィクトリア・ハーバーも見える。
旅行者の時は行くあても決めぬまま歩き続けるだけでも楽しかった
尖沙咀界隈なんてまさに帰り道。

あんなに楽しくて、しかも魅力的で仕方なかった風景なのに、
今じゃ私の視界にまったく入ってこなくなっている時間の方が長い
本当は少しだけでも足を止めてみればいいんだろうけれど。
仕事のストレスもてんこ盛りだし、何よりここは既に旅行先ではなく、
生活の場」になってしまっているという事実がある。

花様年華は無理だけど


そんな中、私が流し読みするツイッターには日本からの旅行者の
方々による投稿が勢い良く流れていく。

私が普段気に止められなくなっている何気ないものに歓喜したり、
「え?そんな下町120%なレストランに行っちゃうわけ?」
な場所に行って、自分だけの隠れスポットを教えてくれたり。

実際、私にとってはそういうツイートを読んでるのがとっても楽しい。
見てて、「あ、そういえば雲呑麺って美味しかったかも。(忘れてた!)
明日行ってみよ。」とか普通に心動かされてしまっているし。
(読者の方で私がフォローバックしていない方。ぜひご一報を!
私もみなさんのツイート、読んでみたいのです。)

何だかこういう永久ビザ所持者が旅行者に新たな香港の一面や
すでにある楽しみを再認識させられる本末転倒な事実を第三者的に考えると、
本当に「日常」や「慣れ」との戦いだよなぁ、と思ってしまう。

私も昔は王家衛の世界と現実の香港とを重ねて、必死にそんな匂いがする
場所を探そうと思っていたときもあったし、それはとっても
楽しい作業でもあった。下町の名店開発を頑張った時代もある。

そういうのって、どこ行っちゃったんだろうか。
時代は変わったといえど、いくつかの王家衛の世界だって、今の香港でも
路地を一本入れば少しくらいなら感じることだってできるはずだ。
(花様年華あたりまでまで行くともう無理くさいけど)

 星光大道は私にとってはタイムマシンみたいなもの


私はたまに自分を取り戻すためにひとり、もしくは心許せる友達と
星光大道に行って、ただただ座ってボケーっと風景を眺めることがある。
周りには旅行者のざわめき。私の周りだけ時間が少し止まる。

そうやって少しの時間だけでも心を休めてこの街の呼吸に耳を当てた時、
その風景はまた昔のように色鮮やかなものに蘇る。
ああ、そういえばこんなに綺麗で楽しげな街だったんだなって。

オフィスからの風景、まったく違った顔を持つ下町。そこらの茶餐廳。雑踏。
面白いものに囲まれているのに本当にもったいないよなぁ。

身の回りのそういうものに気づけ無いから、私はわざわざ旅行という
名目でよその場所のもの珍しげなものを物色しに行く。
実は私の住んでいる場所が多くの人にとっては楽しい旅行先だっていうのに。

香港ライフファイルでGIVE & TAKE!


そういう生活を送っている私にとって、この香港ライフファイルは
とっても大事な存在になりつつある。私の考えることや香港情報を
好き勝手発信できると同時に、旅行者の方や香港ファンと交流もできて、
香港に対して新しい見方がまた出来るようになったりするから

「恋する惑星」で金城武は、何事にも賞味期限があるとはいうけれど、
それはまさに言い得て妙。だけど、私にとって香港の賞味期限は
もうちょっと先のような気がする。そうであって欲しいし、
それって自分できめることかもしれないし。

だから、今ある日常を大事にしながら、時折忙しさの中にも
手を止めて深呼吸してこの街を楽しんで行きたいと思う。
そうであってこそ、香港ライフファイルも面白くなるだろうし、
読者が増えれば私ももらえるエネルギーが増えるという好循環だよね。

 あ、明日から香港いないから


と、日本旅行出発前に書いてみました。
明日の今ごろはもう福岡。

私は11月、狂ったように記事を書いてみたけれど、それは長期の
日本出張を終えて帰ってきて、新たな香港の魅力に気づいたから
かもしれないと思っている。

で、また日本に飛んじゃうわけだけど、帰ってきたらまた
いっぱい記事が書けるようになってるかもしんないね。

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