Everything is Possible!!
「Everything is Possible!!」
… あぁ、また出てしまった。
ヨーロッパ人である私の同僚の伝家の宝刀である。
こいつが目をキラキラさせながら、その言葉を放てば、あら不思議。
ミーティングはたちまち円満に終わるという魔法の言葉。
しかし、オフィスに戻って、私が地獄を見る高性能ブーメランでもあり、
客先でのこの決め台詞が出るたびに私は寿命が縮まる思いがすると共に、
この青い目のくったくのない笑顔に殺意を抱いてしまうのだった。
まったく、
日本人の「できません」
韓国人の「できます」
中国人の「できました」
は信用するな、とはよく言ったものだが、念には念を入れて
進めていく日本のやり方しか知らなかった私にとっては、
とにかくカルチャーショックだったのである。
異次元のミーティングを展開する詐欺師たち
しかし、この青い目の人たちと客先に行く時ってのは
不思議と何とかなりそうな得体のしれない安心感がある。
まったくミーティングの準備ができてないとき、
そもそもそんな業務やったことないって引き合いだって、
この人たちは緊張とは無縁のリラックスした笑顔が自然に作れて、
息をするように嘘をついていくのである。
まったく根拠が無いって言うのに、その自信はいったいどこから
湧いてくるのか、と人間性を疑ってしまうレベルだし、
(普段から結婚詐欺とかしまくってるんちゃうやろかとか疑う)
言ってることがめちゃくちゃでも、自分で場を作っていく術を知っている。
ミーティングの雰囲気も極めて社交的な雰囲気の中、
ストレートに話したいことを詰めていくから、慣れない人が参加したなら、
なんとなく上手いことビジネスが進んでいるようにも錯覚してしまうだろう。
ただ、繰り返すようだが、その和やかなミーティングの空気とは裏腹に
社に戻ってからのことをあんまり考えてないことも多いので、
彼らが楽しく談笑している間、ひとり憂鬱になってることも多々。
港女、本領発揮の場
では、香港人はどうであろうか。
この人たちも少人数の時は非常に頼もしい存在だと私は思っている。
もっと言うと、女性陣の強さは特筆モノで、今日の香港の繁栄もまさしく
港女あってのものだと頷かざるを得ないし、取引先でも例外なく
「この人が味方で良かった」と思わせてくれる無双を繰り広げてくれる。
ちなみに、上述の青い目の人たちとのミーティングはちょっとトリッキーで、
いくら任せっきりといっても、多少は自分の意見を言わないと
バカだと思われ、その後ずっと空気扱いされる、という面倒臭い文化がある。
その点、香港はアジアンスタイルが通用するところもあるので、
私なんかはずっとニコニコしてて、港女の横に座ってるだけで万事解決。
「てめぇ、要らんこと、絶対しゃべんじゃねぇぞ。」という横からの
牽制の視線だけに気をつけていい子にしてれば、成功はまず間違いない。
ただ、強いて欠点をあげれば、集団になったときにパフォーマンスが
落ちることであろうか。1+1が必ずしも2にならない。
(日本人の集団ではしばしば逆の現象が起こる)
中国人は一人なら龍だが三人集まると豚になる。
と聞いたことがあるが、まさにその通りだと私も思う。
一対一の強さは本当に素晴らしいものがあるのに、誠にもったいない。
これはスポーツを見てみても同じことが言えるだろう。
サッカー、野球に始まる集団でやるスポーツは壊滅状態だが、
卓球、バドミントン、水泳、テニス。個人はとことん強いのが中国。
責任の所在がハッキリしないとき、手柄が自分一人に
帰属しないときのモチベーションの低さはまさに異常の一言。
あなたにはわからないでしょうね、なガラパゴス
そして最後に日本。
これは良い悪いというよりも、国際的なスタンダードから
少し乖離した感じで動いている部分が多いと言わざるを得ない。
青い目のひとたちが日本式にミーティングしてくれるなら良いが、
残念ながらそういうわけにもいくまい。そうなった時に日本人がいろいろと
苦戦する姿はこれまでも見てきたし、私自身も経験してきた。
コンペをやるにしたって、青い目の人がやる自信満々なものの方が
どうしても目を引きやすいのは確かで、分が少し悪いだろう。
だが、例えばプロダクションの監督、たとえばQCやプロセスの構築、
みたいなところになるとやはりこれは日本の十八番である。
うちの会社も当てはまるが、外交的なところは青い目のひとたちが
担当して、プロダクションは日本人がきっちりモニター。
というスタイルで生き残る道は残されているような気もする。
個性的とちょっと変って紙一重なんだが
ただ、仕事に限らず、日本という国や文化を含めた全体に対する
イメージについて、香港人からのプラス補正っていうのは
近年ほぼなくなってきたと感じるようにもなった。
以前なら、盲目的に憧れの対象だった日本。
ガラパゴスなところもあるのは今も昔も変わらないけど、昔はそれすらも
ちょっとカッコ良かったのである。個性的とも形容できたかもしれない。
しかし、今はどうかと言えば、私の周りですら日本に対して、
昔のような羨望の眼差しは感じられないし、個性的に見えていたものも、
「何それ、変な国」でバッサリ片付けられるようになった。
(サッカーの本田選手をイメージすると分かりやすいかも?)
そういう意味では、多国籍企業で働く日本人というのは、
昨今色んな意味で苦労してるわけだが、私の場合は自分で選んだ会社だし、
日本人ならではの良さを活かして貢献していくしかなかろう。
ただ、やっぱり最後にここだけでもう一度言わせて欲しい。
出来ないことは「出来ません」って、素直に言おうよ。涙
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