私はただ「iTunesカードのコード」が欲しかっただけ

iTunes 10,000円分のカード、値下げして新価格。今ならHK$745!

今日、私の携帯に届いたWhatsAppのメッセージ。

普段なら、こういった山のように届く広告メッセージだとか、
宣伝の電話は片っ端からシャットアウトする私であるが、
このメッセージに私は少し惹かれてしまったのであった。
というのも、先週、私は日本用のiTunesカードをこの店から購入している。

AppleのiTunesってやつは海外在住者には若干不親切で、
日本のAppStoreとかで売ってるものは、海外から購入できない。
アカウント自体は作れるのだが、海外発行のクレジットカードが
登録の時点ではじかれて、支払いができないという仕様になっている。

よって、私のようなものがiTunes日本版で買い物をする場合は、
日本のクレジットカードを残しておくか、Gift Card等を購入して
それを使うしか無いわけで、そういう経緯でこの店と巡りあったのだった。

日本のAmazonとは大違いのフレキシビリティ

ちなみに、私がこのiTunesカードを購入しようと思った際、
最初にサーチしたのは日本のAmazonからであった。
日本の製品であるし、セラーも日本人ならば信頼できようと思ったからだ。
しかし、どうにもこうにもおかしなことばかり。

まず、値段設定がおかしい。
10,000円のものを買おうとしているのに、なぜか12,000円くらいで
売っていて、さらに送料別である。

カード一枚送ってもらうのに手数料+送料でしこたまとられては、
たまったものではないし、内訳が不明瞭すぎる。
(ていうか、利益とりすぎなのでは?)

その点、香港の店は一切の無駄がない
おそらく日本で割引販売していた際にまとめ買いしたのだろうが、
HK$745といったら現在の為替でもほとんど10,000円前後。

そして、カードはいらないから、コードだけWhatsAppで送って、
という私の些細なリクエストももちろん無問題。
(日本の店は必ず郵送しなければ、と融通が効かないところも多い

ちなみに私とこの店主とのコミュニケーションは下記の通り。

(ホームページでWhatsAppを調べた私がまずメッセージ)

私「日本のiTunesカード、10,000円分欲しいんだけど。」
店主「XXX-XXXXXX-XXX (口座番号) HK$760」
私「Done」
店主「(iTuneコードの画像)謝謝。」

たったのこれだけ。全てが30分以内で終わっている

 もともと私はサービスに対する期待値が低いのだ

私はただ「iTunesカードのコード」が欲しかっただけ
それ以上でもそれ以下でもない。
速く、安く、簡単に手に入れば良かったのである。

今回の取引で言えば、この深水埗に存在すると謳う、怪しげな店は
明らかに日本のAmazonよりも私を満足させてくれたと言えるだろう。

私は日本のサービスとか心遣いとかってのは素晴らしいものだと
思うし、それを否定する気はさらさらないが、場合によっては
それは商機を逃す両刃の剣にもなっているかも、とも思う。

そもそも、私のようにサービスに対する期待値自体が低くて
とにかく安く速く欲しい、というような客に対して、
求める以上の礼を尽くしたって、それは評価されるものではない。

それにコードだけ欲しい、とかっていうリクエストだって、
融通をきかせてくれても良かったのにとも思うが、
そこらへんもやはり「お客様は神様」なお国柄であり、変ないざこざが
起きてしまうと店側が必ず損な立場になってしまう、という弱い立場
だからこそ「必ず発送」という不便な制度になったのかとも想像する。

売り手の自己防衛策により顧客ニーズに対する柔軟性が犠牲になった
という不幸。諸々の規定もより多いのであろう。

その点、香港の取引では売る方も買う方も対等である。
店員の方が偉そうな態度をしていて、売ってもらった私のほうが
「売ってくださって、大変ありがとうございました。」と
独り言を言いながら去っていくことも日常茶飯事である。

値切り交渉をしないヤツは負け犬である

それから、このコードのみ発送、というリクエストもそうであるが、
とにかく交渉してなんとかなってしまうことが多い。

一番簡単なものなら、値段交渉
旅行者の方々でも女人街なんかで値切りの真似事をしていることも
多いと思うが、これは街中の至るところで行われている。

例えば、現金で買うから安くして。一括で払うから安くして。
そんなおまけいらないから、安くして。
大きなものなら、家を売買するときだって、熱い交渉が行われる。

安くして。=「平啲啦」

ここの住民の挨拶みたいなもんである。

香港に移ってきたときには露骨にこの言葉をばらまき続ける文化に
「ちょっと図々しくない?」と違和感を感じてしまったものだが、
しばらく自然と暮らすうちに段々と考え方も変わってきた。

値切り交渉をしないヤツは負け犬である。

そもそも値切り交渉されること自体を想定して価格が設定されて
いることが多いのである。だから、言い値で買っていってしまうヤツは
店員からすればやはり「救いようのないバカ」なのである。
(もちろん、場所によるけれどね)

そう考えるようになってからは、「値切ることへの恥じらい」よりも
店にボラれてしまうことへの恥じらい」の方が優先されるように
なってしまった。(その後、香港人に「咁貴?」って聞かれるのも恐怖)

であるから、今ではもうまるで息をするかのように

幾多銭呀? → 平啲啦〜

のコンボがなめらかに完成されるようになってきている。

 やっぱ香港=大阪なのか

そういう意味では香港で生活するにはコミュニケーション力が
不可欠である。自分の要求を、時には感情を交えてしっかり伝えて、
上手に「傾生意」していくことが大事なのである。

であるから、ここでは沈黙は決して金ではない
割とズケズケと物を言っていく大阪のおばちゃんのような
図々しさがなければ物事がどんどん後手後手に回ってしまう。

そういう意味では、巷で実しやかに囁かれる
「香港って大阪に似てるよね」説はあながち間違いでもない。
言ったもん勝ちの世界であるから、おばちゃんたちにとっては
ホームグラウンドみたいなもんであろう。

最初の取引の話に戻るが、すべては簡単なWhatsApp内の
やりとりで行われているし、実際存在するかどうかも怪しい
小さな店との取引なのだから、ある程度のリスクはある。

だから、安心感で言えば日本で買う方が上なのは間違いないが、
それでもここでは買い手の方も自分の責任を理解し、
(もしくは有事の際は粗口キャノンにものを言わせるのか
売り手と買い手が対等な小口売買契約が頻繁に行われている。

そういう社会を見ていると、やはり日本のサービスへの評価も
時と場合によるのかな、とも思わされるわけである。

雑誌をちょっと立ち読んで帰っていくだけなのに
大声でお礼を言われてしまったり、レジで買い物するにも
ポイントカード、袋、レシート・・・、質問攻めである。

そんなに喋ったり、ゆっくり包装するような暇があったら、
その分安くできるんじゃない?とか思ってしまうが。

私も、随分海外擦れしちゃったのかもね。やだやだ。

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