近くて遠い茶餐廳

茶餐廳。
ちょっと香港に詳しくなってくると、誰しも口にしてみたくなる不思議B級グルメのひとつ。

個人的な感想を言えば、茶餐廳で出されるものがそれほど取り立てて美味しいとも思わないし、
ましてや日本のような食に恵まれてくる国からやって来る旅行者たちが
貴重な旅行中の時間を無理やり割いてまで訪れるようなものでもないでしょ?
というのが本音だが、とにもかくにも茶餐廳はいまでも香港を語る時に欠かすことのできない
香港名物として、その筋の人たちの中での一定の支持を集め続けている。

それにも関わらず、私が前回茶餐廳を訪れたのはいつの日であっただろうか。
少なくともここ数ヶ月で茶餐廳を訪れた記憶がまったくない。・・・?
ヴィクトリア・ピークやディズニーランドなんて観光客向けスポットならまだしも、
これだけ庶民の生活に根付いたものに、どうして私は足を運ばないのか。
そんな理由について今日は考えてみる。

たかが茶餐廳、なのである

今まで他の人と茶餐廳について真剣に議論を戦わせたことがないので
まったくの推測ではあるが、私は茶餐廳について特段情熱を持っていないような気がする。
なんせ、たかが茶餐廳なのである。

茶餐廳といったら、そこらに住んでいる香港人家族たちが階上から気だるげに降りてきては
大体上下どちらかがパジャマのままのような格好のまま、半分瞳孔が開いたままの状態で
気の抜けたマカロニをつついているような場所である。

そこには改まって料理をいただくというな精神はまったく存在していないし、
店側の方にしたって遥々遠くからやってきた旅行客を暖かく迎えるという
ホスピタリティ(おもてなし)のようなものは一ミリたりとも持ちあわせてはいない。

要するに付近に住む住民たちの胃袋の中に最低限の食べ物を詰め込んでやるという
作業だけを行っている極めて地元密着かつ簡素な飲食施設であるはずだ。

だとすれば、そんな店が自宅付近、もしくは通勤途中にあるというならまだしも、
そういう環境にない私がわざわざ調べ物をした上、回り道までして茶餐廳を訪れる理由は
特に見当たらないわけである。

お腹が空いたけど、遠出はしたくないし、着替えもしたくない。
そんな時に気軽に入れる近所の定食屋。それが茶餐廳なのである。

奶茶という選択肢が私にはない

ここに来てすごい告白をしてしまうが、私は奶茶を飲めない。
より精確に言うと奶茶自体は大好きだし、自宅ではガバガバ飲んでいるわけなのだが
外出した時にまったく飲まないということである。
(奶茶だのコーヒーだの飲んでしまうとすぐさま腹痛が襲ってくるという難儀な体質だ)

これは私と茶餐廳とを語る時にクリティカルな問題である。

何せたまにOpenriceでも開こうものなら、「この茶餐廳の西多士と奶茶は最高だぜ!」とか
「ここでは奶茶がXXXXという製法で作られていて、とっても喉越しが良いんだ。」
のようなコメントが多く見られるし、茶餐廳の多くが如何にうまい奶茶を出すかに
熱を上げているようであり、顧客たちもそれを目当てに茶餐廳通いをしているようである。

当然ながら、そういう熱いディスカッションについていくことのできない私は
そっとページを閉じ、いつものありきたりでルーチン化したレストラン群での
ディナーを重ねていっているというわけである。

出来るだけヤッゴーでは茶餐廳突入したくない

とはいうものの、ツイッターで上げられている写真たちを見ていると
「あ、これ、なかなか美味そうじゃん。」と思ってしまったり、
茶餐廳特有のノスタルジックな雰囲気を味わってみたい気分な時もあるわけである。

前述した通り、私の中には「たかが茶餐廳のために遠回り」という選択を行う
モチベーションは特にないわけではあるが、例えば誰かと一緒に食べる
というような目的であり、ある種のとても小さい強制力が働いた時には
意外と私の重い腰はようやく上がるのではないか、という風に考えている。
そう、全てヤッゴーヤンなのがいけないのではなかろうか論である。

では、誰と行けばいいのかというお話になってくるのであるが、これがなかなかに難しい。
例えば香港人のライフスタイルを観察しても、誰でも彼でも茶餐廳のお世話になっている
というわけではないようである。

「え?先月、一回朝ごはんを茶餐廳で食べたっけかな?」のような返事も決して珍しくもないし、
どこかの茶餐廳に食べに行こう的なノリで話せるような雰囲気でもない。
「なぜ茶餐廳のものごときを食べに遥々遠征するのか。」訝しげな顔にはそう書いてあるのである。
よって、香港人と意図的に狙った茶餐廳を訪れるというチャンスは大きくなさそうである。

どこからともなく集まって新聞を広げあう温度感が良い

では日本人と一緒に、ということになるのではあるけれど、
わざわざ日本からやって来た人たちを誘って茶餐廳・・・。有りなのであろうか。
人によっては随分ガッカリしてしまうだろうと思うと、私には口が裂けても言えなくて
いつも一定のクオリティのレストランで無難に済ませてきてしまっている。

そして「香港在住8年」という厄介なイメージがついてしまうとなかなか人に聞きにくいのも事実。
今更茶餐廳巡りをしたいなんて、信じてもらるかさえ危ういレベルである。
しかし、やっぱり私はツイッターで繰り広げられる何だか美味しそうな、私が先述したような
地元民の胃袋を満たすことだけが目的ではない、質の良い茶餐廳にも行ってみたいのだ。

そういえば、土日にそこらのローカル店に飲茶に行くと、約束しているのかどうか知らないけれど
どこからともなくおじさん、おばさんたちが集まってきて、特に話もせずに新聞を広げて読むだけ。
そして、大方食べ終わると適当におのおの帰っていく。毎週、それを繰り返す人たちがいる。

最初彼らのそういった行動を見た時は「何のために集まってんだか?」とか思ったんだけど
香港に住んでいるうちにそういう気を使わない間柄も良いのかもね、とも考えるようになった。

というわけで、そういう適当に時間を過ごせる仲間を探したいのである。
もし、そんな奇特な人がいたなら、ぜひどこかの茶餐廳で待ち合わせしてみたい。
私はきっと、たまに写真を撮るだけでほとんど話もしないだろうし、
その後ブログのネタにしちゃうかもしれないけど、そういうことを気にしなくて
奶茶について熱く語らないという条件付きではあるけれど。
(こういう都合の良いリクエストをするところだけ香港在住8年ぽい)

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コメント

    • Silentmiaow
    • 2015年 12月 09日

    え~~~、ぜひその会合にまぜていただきたい!
    週末の朝、新聞読みながら家族の到着を待つおじさん(席取り担当)と、そこにだいぶ遅れてやってきて黙って座るおばさん、という図にちょっと憧れてました。次回の香港でぜひお願いします!(初対面で会話なしの会合に意味があるのかとか、そもそもお互いをどうやって特定するのかいろいろ問題は残りますが)

    茶餐廳、たしかにものすご~~~くおいしいわけではないけれど、でもチェーンでなくあのレベルのものがそこそこな値段で近所にいっぱいある、というのはやはりうらやましいです。

    一方、日本にしょっちゅう来る香港人は上島珈琲店のトーストにいたく感激してたから、おたがいないものねだりなのかも?

    • HKLF
      • HKLF
      • 2015年 12月 09日

      次に香港に来られたときにぜひぜひ。
      まるで地元民がごとく、ラフな格好に新聞持参で参加します。

      結局のところ、都心に向かえば向かうほどグローバル化が進んでいますし
      ちょっと庶民的な場所の方が(香港の場合、狭いのでそういうものが都心にも存在しますが)
      旅行に来た感じもするのかもしれませんね。

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