[番外編]東チベット一人旅 Vol.3 – 色達

チベット

今回の記事は私の実弟が書いたもの。
彼のことは以前の記事でも書いたけど、そんな彼が年末、中国はチベットを訪れた。
文章も上手だと思うし、何よりいつもながらに面白そうな旅行先なので
彼のFacebookのタイムラインに眠らせておくのはもったいない。

ということで、ここにもポストしてみる。
ご興味がある方がいればぜひ読んでみて欲しい。
同じ中国でも香港とチベットで見える景色が全然違うから面白いのだ。

バックナンバーはこちら:
[番外編]東チベット一人旅 Vol.1 – 1日目(12月27日)
[番外編]東チベット一人旅 Vol.2 – 標高3,000mを超える世界

—————

午前6時、目が覚めた。
頗る寒い。
電気毛布のお陰で凍死を免れているようなもので布団から出るには一大決心を要する。
昨晩、宿の主人から朝9時に近くのバスターミナルから
ラルンガルゴンパ行きのバスが出る事を確認した。
だが、出発するにはだいぶ早い。
壁の一点をじっと見つめながら呼吸を整えた。
高地故の酸素の薄さはまだ実感しないが、油断していると一気に高山病の症状がやってくるため、
深呼吸を習慣づけておく必要がある。

午前8時を回った。
依然として宿の主人が起きてくる気配がしない。
出発の準備を整えようとするも散らかすほどの空間がそもそもこの小さな独房には無い。
外の気温が如何ほどのものか想像出来ないため、服装については念入りに確認した。

午前8時半。
やはり物音一つ聞こえてこない。
昨晩の話の流れでは宿泊客が朝9時に出発することになっている。
宿代を払っていないことを今更ながら後悔した。
そうしていれば、そのままドアの内鍵を開けてバスターミナルへ向かうだろう。
流石に無賃という訳にはいかない。
痺れを切らし、夫婦の寝室のドアを数回ノックする。
眠そうな声で何かぼやいている。

午前8時45分。
ドアの前に立ち大声で挨拶をした。依然として出てこない。
ここまですればこちらとて、ある程度の義理は通したつもりだ。
宿代をテーブルに置き内鍵を開け家を出た。
ただでさえ寒い家の中でさえ家のドアを開けると寒気が勢いよく流れ込んでくる。
悶絶しそうな寒さだ。唯一露出している顔面が痛い。

B0302-2
先を急がねば。
マンションを出るとまだ雪が降っていた。
夜通し降っていたのか地面はうっすらと積雪している。

急ぎ昨夜のバスターミナルへと向かった。
目と鼻の先にあるバスターミナルへは時間をおかずして到着した。
なるほど、昨晩は暗かったためにその全貌が明らかでなかったが
言われてみればバスターミナルの機能は整っている。
しかし、人影が無い。もう行ってしまったのか。

腕時計はすでに午前9時を指していた。
それにしても先ほどまで人が居た様な形跡がないし、足元の雪は踏まれた様子が確認出来ない。
積雪のため、運休になったのか。
一念発起して出てきたために、そう簡単には宿に引き返すつもりは無い。
次善の策を練らねば。

一人悶々とバスターミナルに立ち尽くしていると、
建物の入り口から青年がやってきた。
情報を何一つ持たない自分にとっては、話掛けない等の選択肢はあるはずがない。
すかさず青年に話しかけた。
どうやら多少の英語が通じるらしく、ラルンガルゴンパへ行きたい事を告げると
このバスターミナルではないとの答えが返ってくる。

町の規模すら知る術もない自分にとって、ここ色達に2つもバスターミナルがある
などという発想すらなかった。すぐ近くに金馬バスターミナルがあるらしく、
丁寧にも携帯電話で道順を教えてくれた。
なるほど遠くはないが15分はかかりそうだ。
ラルンガルゴンパ行きのバスが複数便出ているのか分からないが、
この期に及んでは色達の町を散策するつもりで行こうと決め、青年の案内通り、歩を進めた。

それにしても寒い。降雪は止む気配がない。
呼吸をする度に鼻の奥の粘膜が刺激されるのが分かる。
しかし、呼吸を蔑ろには出来ない。
手袋で覆われている指先でさえも繊維の合間をくぐって侵入してくる
殺人的な寒さに侵され、自由が利きにくくなっている。
せめて陽が昇ってくれれば・・・。切に願った。

色達は町というより街というべきか、山間に見られた家々と様子が違い、
堅牢なコンクリート造りの家が多い。
ただ、その色調は通ずるものがあり、雪景色に呼応し、視界に華やぎを与えてくれる。

チベット
車道を走るミニバスが停まり、大声で何かしゃべりかけられた。
内容が分かるはずもないのだが、こちらから言い返せる唯一の単語
「ラルンガルゴンパ!」と叫んでみる。
どうやら通じたようだった。
ミニバスの運転手が手招きをしたので急ぎ飛び乗る。

乗り合いバスの中は運転手を除く6人が皆ラマ僧だった。
えんじ色をした袈裟にそれぞれが違った特有の形をした防寒着を着込み、
頭には毛皮をあしらった立派な帽子も携えていた。
鮨詰め状態であったがなんとか座席を確保した。

席に着き安堵に一息つくも次の瞬間、なんともいえない
嘔吐物のような臭気が充満しているのに気づいた。
どうやらどなたかの服から臭うようだが、
付近の道路事情を考えるとそれも無理の無いことかもしれない。
この寒空の中、乗り合いバスが停まってくれた幸運を噛みしめ、忘れることにした。
バスは走り始めた。

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