現地採用の特権

NIGHT

海外で働く日本人の中には、基本的には駐在員と現地採用という区分があるそうで、
選べることなら駐在員として然るべき特権のもと、余裕を持って現地での生活を楽しむべし。
… というのが一度は海外脱出を考えたことにある人たちの定説となっているのではなかろうか。

例えば私がたった今、
「今、日本に住んでいるのですが、心機一転、大好きな香港に住んでみたいんです。」
という具合の情熱の塊のような相談メールを受け取ったとしたって、
その人に1%でも駐在員として香港へと赴任するチャンスがあるようならば
多少時間がかかったとしてもそれに向かって全力で努力することをおすすめしたい。

それほどまでに、駐在員というステータスは絶対的である。
もちろん、世の中にはそこらの駐在員の人たちよりよっぽど稼いでいるという
才能溢れる香港在住日本人もたくさんいらっしゃるわけだけれども、
人並みの能力と野心しか持ちあわせてない場合は、残念ながらそれを期待してはいけない。

そういう意味では現地採用が胸を張って言えるような「駐在員には無いメリット」
っていうのはなかなか存在しないのだ。
しかしながら、そんな大声で言うことのできない数少ないメリットのうちのひとつ、
駐在員がどんなに欲しくても手に入れることのできない現地採用だけの特権。
それが、「いつまでも好きなだけ香港にいることが出来る」ことなのである。
香港が大好きで大好きで仕方がない人間にとって、これほどありがたいことはない。

きっと私はこの権利を含めて、現地採用という身分を十分に楽しんできた類の人間で
「◯◯さんがご帰国されます。」というお話を聞くたびに
心のなかで「大変お気の毒に・・・」なんてお悔やみの言葉をかけていたし、
死ぬまで!とは言わないものの、少なくとも10年、20年単位で
この街に居座ることは割と既定路線として捉えてきていた。

しかし、である。
ここ数年、社長が香港にやってくるたびに繰り返される、
「日本に帰る気になったら、ポジションはきちんと用意して待ってますからね。」
というボディー攻撃に私の心が揺らぐ時が訪れたのである。
まったく、会社というものは生き物のようなヤツで、
いつ何時どんな形で私に襲いかかってくるか分からない。

「あの、日本に帰ってもいいかと考え始めてます。」
自分の口で言った後には、社長の後ろに広がるビクトリア・ハーバーの景色が
いつもより何十倍も綺麗に見えたし、帰り道にみた夜景は
まるでフォトショップでも使ったかのように一層綺羅びやかに見えた。

東京オフィスが自分を必要としているのはよく分かるし、
普段の生活で出会う香港人たちは大好きだけれど、
オフィスで一緒に働くことにはストレスを感じることも未だに多々ある。
それに、香港という街にまったく目新しさを感じなくなりつつあったことも
原因だったのかもしれない。

とにかく、いろんなことが重なって、ひとまず日本に帰ってみるのも良いか。
という具合に私の脳が判断するような瞬間があったようなのである。

一方、ペットと帰国するならばその準備に半年もかかるとGoogleが教えてくれた。
幸いにも私は半年の猶予を与えられたことになる。
少なくとも今年いっぱいはこの場所でこの空気を吸っていられるのだ。

私はこの香港という場所が今でも大好きだし、出来ることなら半年と言わず
もう少し先までこの街の行末を見守っていていたいと思う。
だけれど、私の未だに実感の持てない帰国の決定もある意味運命だったのかもしれないし、
何より香港が大好きなままに帰国することができること自体が一番の幸せなのかもしれない。

これから、この土地を去ってしまうことに対して、予想した以上の感情が
爆発してしまって「やっぱり帰国取り消しします・・・!」なんて
社長に泣きすがる私の姿が見えるような気がするけれども、
暑くて暑くてついつい出不精になってしまうこの香港の夏だって
一日一日を慈しみながら、後悔することがないように楽しみつくしてやるのである。

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