広東語と普通語。どちらが良いと聞かれても。

香港にも負けないような灼熱の北京の夏。
私はいつものチームと、ビジネスミーティングの場にあった。
相手は中国のGoogleとも言われるあの会社。

ひと通りの挨拶を済ませた後、私が会議中に発した言葉と言えば、
AHAHAHAHAHAというアメリカ人も顔負けの笑い声と
Yes, No, Pleaseのような赤子のような英語ばかり。
私がそこにいる必要性は間違いなくゼロ、いや、むしろ
居なかった方が良かったのかもしれない。

何を隠そう、私は中国に住んでいるというのに普通語が全くダメである。
10まで数字が数えられるかも怪しいし、それはもう潔いくらいに話せない。
日本に住んでいて麻雀に熱狂している大学生の方がよっぽどマシなレベル。。

相手は良くも悪くも名を国際的に知られる大会社。
英語くらい話せるだろう、と根拠の無い憶測とともに飛行機に乗り込んだが、
いくら大きいとは言っても、よく考えたら本社も中国であるし、
ほとんどのビジネスが国内で完結している意味ではドメスティックな会社。

香港のビジネスではおおよそお目にかかれない、いかにも中国の地方から
出てきたんです、っていうような垢抜けないメンバーが数人出てきて、
ものすごい辿々しい英語で頑張って話始めてくれたのだけど、
それでは全然話がぜんぜん進まないから、私が会話から外れることに。

かくして私の乾いた笑い声をBGMとした、成果があったんだか
分かんないミーティングが北京で人知れず開かれたのである。

 え?中国に住んでるのに・・・?

ところで、私がこの香港ライフファイルを始めてから、ぽろぽろと
個人的にメールをいただくようにもなっているが、
コメント機能削除しちゃったからだよね、ごめんなさい。
結構多くいただくのが「普通語と広東語ってそんなに違うんですか?」とか
もう決心しちゃってる系の「これから広東語頑張ります!」という内容。

数年前の私ならいざ知らず、上記の北京でのミーティングボイコット事変に
はじまる諸々のビジネス事情に影響される昨今の状況においては
私は「ゼロからやるなら、普通語の方が良いんじゃ・・・」という方向で
人様にはすすめるようにしている。

何せ広東語を習ったって、それが通じるのは中国南部の限られた地域の
人たちだけである。その他、富裕層の華僑が多く移住した東南アジアでも
コミュニケーション出来たりもするが、人口ベースで考えたら
中国全土で通じる普通語人口の方が比べものになんないくらい多い

香港で暮らすことを考えても、一応香港人も普通語を話すことも
できるからそれほど支障はないだろうし、日本の友達からのメールに

友「ねぇねぇ、この中国語ってどういう意味なの?」
HKLF「あ、悪いけど私は広東語しか出来ないんだよね。」
友「え?中国に住んでるのに中国語が出来ないってどういうこと?
HKLF「それはね、中国語にはいろいろあって、私が話すのは…(長文)」
(返信なし)

という全くの正論による辱めを受けてしまうこともないであろう。

 広東語学習。それはまさしくイバラの道。

そもそも広東語ってのは単純に難しい。

まず、声調だけ見てみても、普通語が4つしかないのに、広東語は
なんと9つ。(学校では細かい違いはおいといて6つという体にするが)
同じ音だけで9つも音程があって、意味もそれぞれ全く違う。
それだけでも、罰ゲームみたいな言語である。

私の香港中文大学での経験から言うと、クラスはかなり国際的な構成に
なっていて、ヨーロッパ人やアメリカ人。イスラム圏もいれば、韓国も。
そういう雑多な国籍が集まる中、日本人は年間を通して優等生として
学生期間を過ごすこととなるのが常。

日本人には「漢字が理解できる」という他の国の人にない、
広東語学習における大きなアドバンテージが存在していて、学習の
スピードが全然早く、「え?私もしかして広東語の才能ある?」という
錯覚に陥ることも学生時代には大いに可能なのだ。

が、問題はその後。
学校を自分のタイミングで終わらせたあとにどうやって学ぶかである。
映画やテレビで字幕を見ながら学ぶという言語習得の王道も
話し言葉しか基本的に存在しない広東語では不可能。

朝の「香港早晨」で周嘉儀の読み上げてくれる書き言葉を読み起こした
奇怪な広東語で勉強した後は、街に出てひたすら実戦経験を
積むしか道が無い、(=短気な香港人たちに怒られながら学ぶってことね)
とことん机に向かってやるのに向いていない言語というわけである。

そういうわけでは、広東語を学ぶというのはまさにイバラの道で、
私なんかは未だに完璧とは程遠いものを喋っているような状況だし、
軽いアドバイスから後で恨まれたくは無いわけで、ひとまず
「普通語にしときなよ」というのが私の不動のリアクションなのだ。

でもやっぱ、 香港といえば広東語だよね

とは言うものの。

特に大陸側に行くような用事もなく、基本的には香港で過ごす時間が
圧倒的に多い上に、割と時間に余裕のある方。
そんな人には広東語を勧めることもやぶさかではない。

私も「あー、選ぶ言語、間違えたよな。」と思ってみることはあっても、
大抵それは隣の芝生はなんとやら、であって、広東語を話せるからこその
メリットを享受してきたというのも紛れも無いひとつの事実。
よって、後悔はしていない。

香港人の多くも広東語、英語、普通語とトリリンガルではあるものの、
一番気楽に話せるのはやはり広東語であり、例えば普通語で話す時は
ある種の外国語感覚もあるのだと思う。(個人差あるけど)

だから、私が今日こうやって多くの香港人と仲良くしてもらってるのも、
それは私が広東語スピーカーであり、それが故の親近感をどこかで
感じてもらっているからなのはまず間違ってなかろう。

そして、最後に私の経験的にものを言うと、広東語を学びたいという類の
奇特な日本人に「普通語にしときなよ」と言ってみたところで
聞いてもらった試しが無いというのもこれまた事実。

だいたいそういう人っていうのは、もういい感じの香港中毒に
なっちゃっている場合が多く、広東語を勉強するべくして勉強する、
そういう星の下に生まれちゃってる運命である可能性が高い。

いずれにせよ、この決して耳障りの良いとは言えない言語。
これも一つの中国の大事な文化であるから、昨今香港政府の熱を入れる
普通語教育に負けず、今後も根強く広東地区を中心に生き残って欲しい。

ていうか、この香港の街に普通語って似合わないと私は思う。
どこか大阪弁のような下町的な響きのするこの言葉を聞いて、
「あ、私、香港に帰ってきたな。」と思う日本人旅行客も多いのでは?

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