つまんない街

廟街

昔の香港は良かったよなー。もっと香港ならではの良さがあったし。
ここ最近でまるで別の街みたいに面白く無い場所になっちゃった。

何だか随分ネガティブな物の言い方だけれど、正直私はそう感じるようになっていた。
それはきっと、もはやこの街の新しい主とも言える大陸からのお客様たちのご乱心振り、
そしてそれに迎合するお店たち。減っていく老舗、味わいある昔ながらの建築物。
いろんな変化を目にする中で感じた率直な私の感想だった。

大都会だというのにノスタルジックな気分に浸れるところがこの街の魅力。
香港在住8年にしていまだに王家衛の世界を街の片隅に追い求めるおめでたい私にとっては
ちょっと懐古的で人間味溢れる光景を目にする、そういう時間こそ今自分が香港にいることを
確かめることができる瞬間だったから、それが段々減ってきている現実は素直に悲しかった。

そして、そんな私の小さなわだかまりだと思っていた大きな不満はついに爆発。
あの美孚の人こと小野寺さんと再会の夜にそれは起こった。

「ねぇ、小野寺さん。私は昔ほどこの街に魅力を感じなくなっているかもしれない。」

旅行者としてやってきているウキウキ気分の彼女にそんな想いを打ち明けるなんて
私はいったい頭がどうにかしているんじゃないかと自分でも思ったけれど、
こんな香港熱にうなされたようなブログをやっている都合上、人を選ぶ愚痴でもあった。

「確かにそうね。私は最近よく『今の香港を描き残しておいて。』って言われるのよ。」
そう私を受け止めた後、さらに「そういう意味では台湾は懐かしさを残した良い場所かもね。
香港とはまた違った良さがあるのよね。」なんて台湾の素晴らしさをあの印象的な笑顔と
ともに語り始めてしまったから、私は台湾という場所がとっても羨ましくなってしまった。

同じ中華圏の街だというのに、日本人はもちろん、香港人だって口をそろえて
「理想の場所。いつか移住したいってくらいに思っているよ。」と呪文のように呟きながら
毎年のように台湾詣でを敢行している始末。歴史とその空気を程よく残している上に
台湾人は揃いも揃って礼儀正しくて穏やかなんだとか。

そんな理想郷と比べちゃったら、香港なんて勝ち目無いじゃん。
最近、風邪を引いたら毎回お世話になる香港自慢の漢方薬メーカー、京都念慈菴が
実は台湾の会社という衝撃の発見をしたばかりの私にとってはダメ押し的なお話だった。
AQUAから見える圧巻の夜景もなんだか以前の輝きを失ったように見えた。

そんな夜が明けて、私がいつものようにオフィスで眠た気な顔をしているころ、
小野寺さんは香港のあちこちを歩きまわっていた。
そして、彼女はその様子を丁寧に写真に撮って私に送ってくれた。

そのほとんどは彼女のInstagramでも見ることができるけれど、
きっと彼女はまだ街のいろんな場所に自分だけの香港を見出すことができる上に
この街の至る所に笑顔で待ってくれている人がいるようだった。

えー、ひどい!私はオフィスで惨めな打工仔しているっていうのに!

何だかあんまりにも楽しそうな様子を送ってくるもんだから、
私は悶々とした時間を過ごしていたのだけど、私の携帯にそういう写真が
段々と溜まるにつれて台湾という理想郷はいつしか頭の中から消えつつあった。

そして今日、香港名物の台風、しかも8號風球が掲げられた中、小野寺さんは香港国際空港にいた。
「あのさ、茶餐廳で買った大量のパンがスーツケースに入ってるんだけど
台風で濡れちゃったら大変だよね!」
「今朝もいっぱい買い物したんだけど、栄華の老婆餅は買い忘れちゃったの。
出張で東京来る時にお願いね!」

そんな彼女らしいお茶目な心配をいくつかした後に
「今回もとっても楽しかった!また来るから!」と最後のメッセージを送った。

残念ながら空港まで見送りにいくことは出来なかったけれど、
他の多くの日本人旅行客がそうであるように彼女も満面の笑顔で
そしてとっても名残惜しそうに空港のゲートを潜る様子が目に浮かんだ。

何だ、香港、まだまだやるじゃん。
慣れってほんとにヤダ、ヤダ。

明日は金曜日。
台風も過ぎ去った後のフライデーナイトには
私は別の旅人とこの街を歩くことになっている。
香港再発見をするには願ってもない素敵な感性を持つ方と。

皆様も素敵な週末を。

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コメント

    • Silentmiaow
    • 2015年 7月 10日

    こんにちは。台風は大丈夫でしたか?

    年に数回しか行かない私が「最近の香港は・・・」なんて言うのもおこがましいですが、大陸人向けの宝石屋と薬局ばかり、ショッピングモールはどこも同じでつまらない・・・・。一方、最近通い始めた台北はどこを撮っても絵になる建物、繁華街でも一本入れば真っ暗で、人はとにかく穏やかでやさしい。もっともっと台湾のこと知りたい、という恋の始まり段階です。
    なんだけど、香港が倦怠期かというとそんなことはなくて、食べ物はおいしいし、友達は「えっまだアレ食べたことない!連れてってやる」「今度はこの時期に来なさい」「半島サイドももっと見なきゃ」とうれしいおせっかいで、ああ、またもや時間が足りない・・・、寝不足のまま機上の人となる始末。
    いっそ退屈するくらい香港に住んでみたい、というのが昔も今も、私の夢なのでした。

    • HKLF
      • HKLF
      • 2015年 7月 10日

      Silentmiaowさん、こんにちは。
      台風は大した被害もないままにあっという間に去ってしまって、今日はおかげで良い天気!

      私は台湾とは不思議と縁がないままなのですが、何だか皆さん口を揃えて素敵な場所だと言いますよね。
      Silentmiaowさんもすっかり台湾の虜という感じで、香港はまさに捨てられちゃった状態!?

      日本の方にとっては近場に魅力的な都市がたくさんあって、迷ってしまうと思いますが、
      香港にも変わらずいっぱい遊びに来て下さいね。

    • Leslie
    • 2015年 7月 11日

    何を隠そう、このわたくしもまた、台湾へ毎月のように通っておりました(笑)。
    香港でボトルキープしている店は、15年間でついに皆無でしたが、台北の林森北路には数軒。大雨で台北の街全体が浸水したといえば、大事は無いかと飛んで行き、地震で被害が出たと言えば、みんな無事かと飛んで行く、台北在住の友達に「明日メシ行こうや」「OK~」…ってな具合でして(笑)。

    台湾は、「香港に疲れたら行く場所」でした。決してそれは日本への里帰りではいけません。金曜の夜便で台湾入りして、日曜の午後便で香港に戻るのです。台北出張も必ず休日を挟む形でスケジュール立てました。
    別に旅番組みたいな滞在を望んでいるわけでもなく、ただ台湾に滞在しているだけでよい、そんな感じでした。

    そんな台湾とも、6年ほどご無沙汰です。行きたいのは山々だけど、どういうわけか、そうなると今度は香港を最優先してしまう…。
    このひねくれた「香港愛」もまた、実に厄介なのであります(笑)。

    • HKLF
      • HKLF
      • 2015年 7月 11日

      Leslieさん、ありがとうございます。

      やっぱり台湾には香港とは違った良さがあるようですね。
      私なりの人づての印象は台湾は何だか懐かしいほっと出来る場所。
      香港はエネルギッシュで元気を分けてもらえるような街。
      そんな感じでしょうか。

      その時々の気分によって、二つの街から選んでいくっていうのも
      とっても上手なストレス発散方法だと思います。
      私も早く台湾を訪れてみないといけませんね。

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